このホームページをご覧の皆様の中には、歩道を歩いていたところ自転車に衝突されけがをした、あるいは自転車を運転中、歩行者をはねてけがをさせてしまったなど、自転車による事故でお悩みの方がおられると思います。
ここ数年、交通事故件数全体における自転車乗用中の交通事故の占める割合は、2割程度と高い水準で推移しており、うち15.8%が、自転車による加害事故となっています(平成24年度)。
平成25年7月には、歩行中の女性が、小学5年男子児童(当時)の運転する自転車にはねられて頭の骨を折るなどの重傷を負い、その後寝たきりの状態になったとして、男子の母親相手に、被害者と被害者に保険金を支払った保険会社が計約1億500万円の損害賠償を求めた訴訟で、神戸地方裁判所が、母親に対し、合計で約9520万円(被害者に対し約3520万円、保険会社に対し約6000万円)の支払いを命じる判決を言渡し、世間から注目されました(平成27年3月現在、控訴審係属中)。
自転車事故の場合、身体が露出した状態で事故に遭うことから、上記の裁判例のように、重篤な後遺症が残ることがままあります。にもかかわらず、保険制度が整備されていないこと*や過失割合が類型化されていないことから、自動車事故に比べ、確実に賠償金を回収することが困難であるという側面もあります。
そのため、自転車事故の被害者や加害者となった方には、弁護士にまず一度相談されることをお勧めします。
*平成27年2月、兵庫県が自転車の購入者に自転車保険の加入を義務付けるという全国初の条例案を提出しました。今後、このような条例の制定により、自転車保険制度の整備が全国的に進められることが期待されます。
自転車事故の被害者となった方が適正な損害賠償を受けるためには、自動車事故以上の労力がかかります。なぜなら、自転車事故には、
① 過失割合が類型化されていないため、加害者との間で争いになりやすい。
② 保険制度が整備されていないため、現実に賠償金を回収することが困難である。
③ 保険の補償範囲に含まれていることが見落とされがちである。
④ 後遺障害認定制度がないため、自身で後遺障害の程度について資料を集め判断していかなくてはならない。
という特徴があるからです。
自転車事故により肉体的・精神的ダメージを受けた被害者が、ひとりで、加害者や保険会社との交渉、事故の実態の調査、損害額の計算などを行ってこれらのハードルを越えることは、肉体や精神にさらなる多大な負担を強いるものであり、非常な困難を伴うと思われます。
ぜひ一度、弁護士にご相談ください。
なお、自転車事故の場合、加害者が未成年者であることも多く、被害者の方のなかには、資力のない未成年者から賠償金を現実に回収することは難しいだろうとあきらめの気持ちをお持ちの方もおられるのではないかと思います。しかし、その場合でも賠償金を回収できる可能性があります。
加害者が責任能力のない未成年の場合は、その保護者である親は、通常、損害賠償義務を負うことになります(民法714条1項。ただし、親が監督義務を尽くしていたとされれば、親は義務を免れます。)。加害者が責任能力ある未成年の場合は、親が子の粗暴な運転を認識しながら事故を防げなかったなど、親に監督義務違反が認められれば、損害賠償義務を負うことになります(民法709条)。
上述のように、自転車事故の加害者となった場合、高額の損害賠償を請求され、途方に暮れるケースもあるかと思います。
まずは、利用できるご自身の保険がないか探すことが大切です。実は、自転車事故の賠償の利用できる保険は多く存在しており、ご自身の気づかぬうちにそのような保険を契約していることがあるのです。特に忘れがちなのが、クレジットカードに附帯している賠償保険です。御自身がお持ちのクレジットカードを、もう一度ご確認ください。その他にも、ご相談いただければ、利用できる保険がないか、徹底的に探しださせていただきます。
また、被害者やその代理人との交渉を代理させていただき、示談成立までお付き合いさせていただきます。さらに、被害者から調停や訴訟などの法的手続きを起こされた場合は、代理人として裁判所に出頭し、一切の手続きを行います。
ぜひ一度、弁護士にご相談ください。
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