交通事故訴訟においては、様々な証拠が必要とされますが、大きく分けると、事故態様(加害者及び被害者の過失)に関する証拠と、被害者の損害に関する証拠が必要となります。
人身損害についての賠償を請求する場合については、以下のような証拠が必要になります。
目次
ア 交通事故証明書
(ア)概要
自動車安全運転センターの都道府県方面事務所長が、交通事故の発生を確認したことを証明する文書であり、他の証拠資料の収集等にあたっても必要とされる最も基本的な証拠資料のひとつです。交通事故の発生日時、発生場所や当事者等に関する事項が記載されます。
(イ)収集方法
申込用紙に必要事項を記入し、郵便局で手数料を添えて申し込みます。自動車安全運転センターのホームページ上からの申込みも可能です。
なお、交通事故証明書の発行を受けるためには、交通事故について予め警察に届け出ていることが必要です。
イ 刑事事件記録(実況見分調書)
(ア)概要
刑事手続を進めるうえで、捜査機関は、実況見分調書、供述調書、捜査報告書といった様々な証拠資料を作成します。そのなかでも、事故当事者等の説明を基に警察が事故の状況(車両等が衝突した地点やブレーキをかけた地点等)を記載した「実況見分調書」は、事故態様に関する特に重要な証拠になり得るものです。
(イ)収集方法
検察庁による不起訴処分又は刑事裁判終了の後、検察庁に刑事事件記録の閲覧・謄写の請求を行い、検察庁から許可が出れば、謄写できます。
不起訴とされた事件については、原則として謄写することができるのは実況見分調書にかぎられます。
ア 診断書・診療報酬明細書ほか
(ア)概要
入通院先の病院が作成する診断書(傷病名、受傷日、治療期間等が記載された文書)及び診療報酬明細書(診療内容内訳や治療関係費が記載された文書)は、入通院状況や治療関係費を算出する上で不可欠の証拠資料です。
また、整骨院や接骨院に通っている場合には施術証明書及び施術費明細書(通常は一体になっています)が、薬局については調剤報酬明細書添付の請求書がそれぞれ必要となります。
(イ)収集方法
病院、整骨院、薬局等に依頼して作成してもらいます。
イ 後遺障害診断書
(ア)概要
主治医が、症状固定時に残存する被害者の症状(後遺症)について記載した文書であり、症状固定日、傷病名、自覚症状、画像所見等の項目があります。
後遺障害等級認定の審査を求めるうえでは、後遺障害診断書が不可欠であり、他に自動車損害賠償責任保険支払請求書兼支払指図書、交通事故証明書、事故発生状況報告書、医証(診断書・診療報酬明細書等)が必要です。
(イ)収集方法
症状固定の後に、主治医に作成してもらいます。
ウ 休業損害証明書
(ア)概要
被害者の勤務先が、被害者の休業日や直近の給与額等を記載した文書であり、交通事故によって被害者が休業を余儀なくされたことによる損害を算出するために必要とされます。
休業損害証明書の記載を裏付ける資料として、事故前年分の源泉徴収票(あるいは所得証明書)が必要になる場合もあります。
なお、被害者が事業所得者の場合には、休業損害証明書等ではなく、確定申告書等が必要です。
(イ)収集方法
被害者の勤務先に依頼して作成してもらいます。
このように、交通事故訴訟に関する証拠を収集するためには、様々な機関に対して適切な時期に所定の手続を経る必要があり、相当の時間と労力を要します。
必要な証拠を漏れなく迅速に揃えるため、事故態様や損害の内容をふまえて、計画的に証拠収集を進めていく必要があります。
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