これから,脊柱の障害として,圧迫骨折,破裂骨折,固定術に伴う脊柱の変形,運動,荷重障害を取り上げます。
脊柱に関して,自賠責の後遺障害等級表(別表Ⅱ)に記載されている後遺障害は以下のとおりです。(カッコ内に記載されているのは,等級表には記載がありませんが,その等級に相当すると考えられている後遺障害です)
ここで注意しなければならないのは,仙骨及び尾骨は医学的には脊柱の一部とされていますが,後遺障害等級上は脊柱に含まれないということです。
目次
XP,CT,MRI画像(以下「XP画像等」といいます)により,脊椎圧迫骨折,脱臼など(以下「脊椎圧迫骨折等」といいます)を確認することができるときであって,次の(1)(2)のいずれかに該当するものをいいます。
(1)脊椎圧迫骨折等により,2つ以上の椎体の前方椎体高が著しく減少し,後弯が生じているもの
*「前方椎体高が著しく減少」とは,減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と,減少後の前方椎体高の合計との差が,減少した椎体の後方椎体の1個あたりの高さ以上になった場合をいいます。
(2)脊椎圧迫骨折等により,1つ以上の椎体の前方椎体高が減少し,後弯が生じるとともに,コブ法による側弯度が50度以上となっているもの
*「前方椎体高が減少」とは,減少したすべての椎体の後方椎体高の合計と,減少
後の前方椎体高の合計との差が,減少した椎体の後方椎体の1個あたりの高さ
の50%以上となった場合をいいます。
*脊椎圧迫骨折→別ページ
*コブ法→別ページ
②「脊柱に著しい運動障害を残すもの」
次のいずれかにより,頸部及び胸腰部が強直したものをいいます。
(1)頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎圧迫骨折等が存しており,それがXP等により確認できるもの
(2)頸椎及び胸腰椎のそれぞれに脊椎固定術が行われたもの
(3)項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるもの
その原因が明らかに認められる場合であって(*),そのために頸部及び腰部の両方の保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とするものをいいます。
*荷重機能障害の「原因が明らかに認められる場合」とは,脊椎圧迫骨折,脱臼や脊柱を支える筋肉の麻痺又は項背腰部軟部組織の明らかな器質的変化が存し,それらがXP等により確認できる場合をいいます。
次のいずれかに該当するものをいいます。
(1)頸椎又は胸腰椎に脊椎圧迫骨折等を残しており,そのことがXP等により確認できるものであって,脊椎圧迫骨折等により頸部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度(*)の2分の1以下に制限されたもの
*脊柱の「参考可動域角度」は,日本整形外科学会及び日本リハビリテーション
医学会により決定された,「関節可動域表示ならびに測定法」に定められていま
す。
(2)頸椎又は胸腰椎に脊椎固定術が行われたものであって,そのことにより頸部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの
(3)項背腰部軟部組織に明らかな器質的変化が認められるものであって,そのことにより頸部又は胸腰部の可動域が参考可動域角度の2分の1以下に制限されたもの
(4)頭蓋・上位頸椎間に著しい異常可動性が生じたもの
XPなどにより脊椎圧迫骨折等を確認することができる場合であって,次のいずれかに該当するものをいいます。
(1)脊椎圧迫骨折等により,1つ以上の椎体の前方椎体高が減少し,後弯が生じているもの
(2)コブ法による側弯度が50度以上であるもの
(3)環椎(第一頸椎)又は軸椎(第二頸椎)の変形・固定により,次のいずれかに該当するもの
A 60度以上の回旋位となっているもの
B 50度以上の屈曲位または60度以上の伸展位となっているもの
C 側屈位となっており,XP等により,矯正位の頭蓋底部両端を結んだ線と軸椎下面の平行線が交わる角度が30度以上の斜位となっていることが確認できるもの
第8級相当「荷重機能障害」
その原因が明らかに認められる場合であって,そのために頸部又は腰部のいずれか
の保持に困難があり,常に硬性補装具を必要とするものをいいます。
次のいずれかに該当するものをいいます。
(1)脊椎圧迫骨折等を残しており,そのことがXPなどにより確認できるもの
(2)脊椎固定術が行われたもの(ただし,移植した骨がいずれかの脊椎に吸収さ
れた場合は除く)
(3)3椎以上の脊椎について,椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの
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