依頼者:交通事故に遭われた70代後半の男性及びそのご子息
解決までの期間:約半年
後遺障害等級:第1級(別表第1の1)
被害者がスクーターで交差点を通過しようとしていたところ、右折をしてきた自動車にはねられてしまいました。車にはねられた被害者は頭部に大きな損傷を受け、寝たきりの状態になってしまいました。
被害者は自営業を営んでいましたが、寝たきりで会話もできない状態となってしまったので、店を閉鎖し、ご子息も介護に専念するため、勤めていた職場を退職せざるを得ない状況に陥りました。
後遺障害の認定については、事前認定で第1級(別表第1の1:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの)の認定を受けておりました。被害者のご子息に成年後見人になっていただき、ご依頼いただきました。争点となったのは、①逸失利益、②過失割合についてでした。
①逸失利益の計算については、70代後半の被害者の場合、1日当たりの基礎収入を、年金を元に計算するのが一般的ですが、保険会社の提示が平均賃金センサスをもとに算出されていたものであったので、無理に争うことをせず、通常よりも多い額を受け取ることができました。
②過失割合について、保険会社は当初、被害者に対して4割の過失割合を主張してきましたが、当事務所の弁護士が、実況見分調書をはじめとする刑事記録を集め、遠方の現地に赴いて事故状況の把握、調査をしました。入念な調査の結果、最終的には過失割合を2割まで引き下げることができました。
最終的には、保険会社当初提示額4100万円の提示を、5500万円まで増額し、示談で解決することが出来ました。また、近親者の将来の介護費用も認めさせることができましたので、依頼者にも満足していただけました。裁判に持っていき、徹底的に争うことも可能でしたが、被害者がご高齢であったことや保険会社の提示額の妥当性、判決をもらった場合のリスクも考慮し、依頼者の方のご希望を把握した上で、早期に示談で解決することにしました。
本件では、保険会社が提示してきた4割の過失割合を2割に引き下げることに成功した点がポイントとなりました。弁護士自ら現地に赴き、事故状況を調査したことで、事故発生時の状況を正確に把握、主張できたことが結果につながりました。
また、ご家族と面談をして、介護・生活の状況、被害者の状況を把握したうえで、近親者の将来の介護費用について認めさせたこともポイントとなりました。ただ書面だけで判断をするのではなく、必要に応じて現地に足を運び、状況を正確に把握することが重要です。
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